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トップページ>ママページ>お母さんとお子さまの歯について>>フッ化物とキシリトールについて

フッ化物塗布の目的とは

最近、フッ素は虫歯になりにくい丈夫な歯をつくり、キシリトールには虫歯の予防効果がある、という認識がかなり高くなったように思います。  そのため、診療所にやって来る子供達の保護者さんから「虫歯にならないようにフッ素を塗ってほしい」と言う依頼が増えていますし、幼稚園や小学校で講話をさせていただくときにも、必ずと言っていいほどこれらに関連した質問を頂戴します。  ほとんどの保護者の方はすでに正しい知識をお持ちですが、中にはフッ化物という薬剤の力を過信したり、誤った認識の方がおられます。  確かにフッ化物とキシリトールは予防に大きな効果を発揮しますし、私自身、臨床上かなりの効果を実感しています。  しかし、口腔疾患の予防で最も大切なことは、①正しい歯磨き、②お口に関心を持ち清潔に保とうとする意識、③適切な食生活と定期健診であって、フッ化物やキシリトールの歯への応用は、その4番目に挙げる事が出来ますが、“ 原則的に「 フッ化物を塗布するだけで虫歯を完全に予防ことは無理!」 ” なのです。。。。とは申し上げましても、昨今、注目度抜群のフッ素とキシリトールについて、その効果を簡単な図表を使って分かり易く解説させていただきましたのでご一読下さい。  

あるアンケート調査で「子どもにフッ化物塗布を希望しますか?」という質問に対して、多くの方が「はい」と答えていました。
これは、フッ化物に対していかに関心が強いかを示しています。
続いて、「はい」と答えた理由についてお伺いしたところ。。。                                                 子どもにフッ化物塗布をさせたいという希望を持っているものの、周囲からの情報に依存した「受身のフッ化物塗布」が多く、「虫歯予防の一環として、予防効果を高めるため」という理想的な認識を持っている方が意外に少なかったという興味深い結果がでました。  このあたりに、フッ化物を応用することで虫歯にならないとか、キシリトール含有の食品やガムを口にしてさえいればそれだけで予防になるといった誤った考え方が広まっている原因がありそうな気がします。
一方、「いいえ」と答えた方にその理由をお伺いしたところ、フッ化物を塗っても虫歯になってしまったという話を聞いたことがあるからという回答がたくさんありました。  厳密に言うと、これは間違いではありませんが、フッ化物やキシリトールに虫歯予防効果があるのも事実です。
ここで私が皆様に正しい知識として知っていただきたいことは、次のことです。。。 

フッ化物の塗布は、まず正しい歯磨き法を身につけ、それを実行し、かかりつけ歯科医の指導のもとに個々にあわせて応用したとき、初めてその優れた効果を発揮するものです。  ですから、歯磨きを怠り、乱れた食生活を続けている中でいくらフッ化物を塗っても効果は期待できません。 大切なことは、フッ化物やキシリトールは、確かに虫歯予防効果に優れた薬剤ですが、万能薬では無いということなのです。

フッ化物の予防メカニズム
フッ化物には歯に対する直接作用として「フルオロアパタイトの生成」、「結晶性の向上」、「再石灰化の促進」また、口腔内の環境に対しての間接作用として「細菌活動性の抑制」、「細菌酵素作用の抑制」の二つに大きく分けられます。
フッ化の動き1.jpg

フッ化物が歯のエナメル質に作用すると、エナメル質の主成分であるハイドロキシアパタイトと置換してフルオロアパタイトを生成します。  これにより、エナメル質はより安定した強い結晶構造を持つようになり、耐酸性(虫歯菌に溶かされにくい)を向上することになります。
また、唾液中に存在するCaイオンや、リン酸イオンとともに歯に再沈着し、部分的に壊れ始めた結晶構造を修復します。  これを再石灰化と呼んでいます。
更に、フッ化物には、細菌が糖分を菌体内に取り込んでエネルギーを作る過程で必要なエラノーゼという酵素の活性を阻害する働きを持っています。  つまり、口腔内にフッ化物が存在することによって、細菌はエネルギーを産生できなくなり、結果として酸を作ることができない環境を作り出します。


キシリトールの効果
一方のキシリトールは、糖アルコールと呼ばれる天然の甘みを持った炭水化物です。  糖アルコールとは糖が還元されたもので様々な植物の中に含まれています。  天然のキシリトールの場合、イチゴ類、カリフラワー、プルーンなどに多く含まれ、工業的には白樺に含まれるキシランという成分を加水分化して得られたキシロースを還元して作られています。
下の写真の左側は人工的に生産されたキシリトールの粒です。  無色・透明・無臭の結晶で、グラニュー糖に比べて結晶の形や大きさがやや不均一ですが、グラニュー糖によく似て水に溶けやすく、甘味も強いです。  特徴としては、溶けた時に冷たく感じる清涼感があります。

キシリトール、グラニュー.jpg



キシリトールの虫歯予防メカニズム
虫歯は、主にミュータンス菌が糖を分解して産生する酸によってエナメル質を脱灰する事で起こります。
キシリトールは、このミュータンス菌に対して他の糖アルコールには見られない、特有の作用を持っています。  それは、「キシリトールの無益回路」と呼ばれているのですが。。。。詳しくは、下のキシリトールとミュータンス菌の関係図でご説明申し上げます。


キシリトール.jpg

口腔内に運ばれてきたキシリトールは唾液に溶解して、ミュータンス菌と出会うことになります。  そしてキシリトールがミュータンス菌の外部から細胞膜を通って菌体内に取り入れられる(菌がキシリトールを食べる)と、ミュータンス菌はこれを消化する途中で、キシリトール5-リン酸という代謝産物を産生します。  これが静菌作用を持つと言われています。
さらに、キシリトール5-リン酸がミュータンス菌体内で加水分解(消化)されると、無機リン酸塩とキシリトールに分解します。  ここで新たに分解されたキシリトールは再びミュータンス菌の外部に運び出されることになります。  この過程でミュータンス菌はキシリトールをエネルギーに変換できないばかりか、逆にエネルギーを消費してしまいます。  平たく言えば、虫歯菌がキシリトールをエサと思って食べたら、それを消化するのに苦労した挙句、結局 消化できず徒労におわってしまう。。。これが、キシリトール パワーなのです。  その結果ミュータンス菌は活性を失い、次第に数が減っていく(餓死する)ことになります。  これがキシリトール特有の虫歯予防のメカニズムです。
キシリトールの作用はこれにとどまらず、糖アルコール分子のOH基が唾液やプラークのカルシウムと複合体を作り、水溶性のカルシウム量を増やします。  このカルシウムがエナメル質表面の再石灰化を促す働きも持っています。
フッ化物もキシリトールも、最大限の効果を得るには、できるだけ長い時間口腔内に留まって歯に作用させることが望ましいです。
したがって、キシリトールの摂取の仕方としてはキシリトールガムやキシリトールキャンディーが推奨されます。
 


フッ素とキシリトールに頼る前に・・・

まず、かかりつけの歯医者さんで正しいブラッシング法の指導を受け、それを実行してください。  そしてかかりつけの歯医者さんの指導のもと食生活を見直し定期健診を行いましょう。  何らかの問題がある場合は早期に治療を受けたり、改善するように努力して再発の防止に努めなければなりません。  これが予防の第一歩となります。
フッ素とキシリトールには、虫歯を抑制する作用があることは間違いありません。  しかし、このような基本的な予防概念や衛生観念がないままフッ化物洗口や塗布を続けたり、キシリトールガムをかみ続けていてもその効果は望めません。  あくまでも予防のオプションであるということを認識しながら、虫歯予防に努めていただきたいと思います。


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